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2019.06.28

エネルギー削減と耐震強度

  設計課の山下です。
 
 日頃建築の設計業務を行う中で、お客様と良く話題となるのがエネルギー削減に関するパッシブ思想に基づく住宅と、地震に強い家としての耐震等級取得の家があります。
日本は地震国であり、定期的に大きな地震に見舞われていますので、「災害に強い家」を造るという事は必須であり、その重要性がますます増してきました。
 
そこで今日は「災害に強い家」という観点から地震に関する、建築基準法上の考え方の変遷を書いてみたいと思います。なぜなら、建物の耐震強度は建築基準法に定められているからです。 
 
明治の時代、洋風建物が日本で作られるようになると、それまで大工さんの経験で作られていた家造りが、科学的な構造計算としてとらえられるようになってきました。
その概略を説明すると、建物に掛かる地震力は、建物の屋根や床、それを支える柱や、梁と言った建物の自重と、その中にある家具や人によって生じる積載荷重との合計の質量に、地震の加速度(α)を掛けたものを地震力とし、それらの力に対していかに家を守るかの工夫が必要となります。
 
大正13年(1924年)の市街地建築物法でそのαが定められ、以来、昭和56年までの57年間、この考えに基づき耐震設計が行われてきたのです。
 
木造建物の場合は、これら地震力に対して、筋かいや耐力壁で抵抗しているわけですが、
昭和56年6月までは、建築確認に対して、筋かいや耐力壁の必要量の計算は施工者、すなわち大工さんや設計者に委ねられ、特に法律で行政がチェックするという事はありませんでした。建築確認に必要な書類として求められる図面も住宅に関しては、平面図とそれに基づく多少の仕様書で良かったのです。
 
もちろん、施工者に科学的知見に基づく構造上の設計責任があることは当時も現在も同じでありましたが、建築基準法上の具体的チェックの手法が定められていなかったのでこの時代の建物を「旧耐震の建物」と言います。
 
昭和56年6月に、建物の耐震要素である「筋かい」や「耐力壁」の数量に関する具体的計算手法の定めが出来ました。それが「壁量計算」という概念です。ゆえに、これ以後の建物は、一応、耐震基準が定められ、行政により安全がチェックされている建築物であるという事から「新耐震基準」の家と呼ばれました。
 
ところが、その後の数度の大地震、特に、平成7年の阪神・淡路大震災を経て、さらに建築基準法をはじめとする建築関係法令が大きく変わりました。大地震による建物の倒壊事例を研究する事によって得られた事は、耐震要素である「筋交い」の端部が地震による力で柱と乖離したり、床面の剛性不足で筋かいや耐力壁が協調して働らかない等があります。ゆえに、平成12年6月に、建築物の性能規定化を主な改正点とする、「改正建築基準法」が施行され、さらに、同年7月に住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく「住宅性能表示制度」(品確法)が施行されました。
 
この品確法は、構造強度以外の規定も含みますが、構造強度に関して言えば、それ以前の新耐震の「壁倍率」や、壁量設置基準の「1/4計算」(偏心の概念)に基づく仕様規定的ものから、性能規定化へ流れが変わったと言えます。新しく加わったものとして、「床倍率」の概念や「接合部金物」の計算と言ったものがあります。
 
これらを具体的施工法で説明しますと、基礎と土台を緊結するホールダウン金物の採用や、柱と梁、土台との接合部の計算に基づく金物の設置、小屋組みや2階床の構造上の構面としての床倍率の計算等に基づく、火打ち梁の数量のチェック、耐力壁を構成する柱の引き抜き防止の金物、あるいは筋交いや火打ち梁に代わるより強度の高い構造用パネル等の採用等があります。
もちろん、地耐力に応じた基礎等の形状も明示されています。
 
これらの改正は、先の熊本地震によっても一応の成果が認められ、未だ、新しい建築基準法の木造建物における、大幅な構造基準の改正はありません。ただし、よく言われることに建築基準法は、必要最低限の基準が定められているにすぎないということです。
それを上回るものは「品確法」に基づく「耐震等級」です。すなわち、耐震等級1、2、3に分類されるもので、耐震等級3になりますと、建築基準法の基準で建てられた耐震等級1の建物に対し、その地震に対する強度が1.5倍に向上します。
 
私どもMBC開発の住宅は、建築基準法はもとより、ほとんどの建物をこの耐震等級「3」にて設計及び建築しております。
 
当社はこれからも、地球環境にやさしい省エネ住宅である「パッシブデザインの家」と災害に強い「耐震等級3の家」を基本に、デザインや住み心地の良さを追求し、地域の家造りに貢献したいと考えています。
 
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