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2020.05.29

「コロナウィルスにみた、これからの住宅設計」

 設計課の山下です。ようやくコロナウィルスが少し収束してきて、ホットした今日この頃です。
それにしても、この数年、大雨や地震、巨大台風と、想定外のことが次々と到来し、息つく暇もないくらいです。しかも今回はまさかの「コロナウィルス禍」です。
 
 想定外の災害が多くなってきたのは、近年の幾何級数的な科学技術の発展により、世界間移動にしろCO2問題にしろ、地球に掛ける負荷が大きくなったことがその原因の一つであると言われています。ゆえに、この想定外の出来事は、多分、一時的ものでは無く、恒常的状態になりつつあるのだろうと思います。そこで今日は想定外の災害に対する平時の備えとしての住宅の役割を考えてみました。
 
例えば、大地震や巨大台風が襲来した場合 (構造強度の問題)
例えば、電気や水がストップした場合   (オフグリッドの問題)
 例えば、外出禁止令が出動された場合   (生活物質のストックの問題)
    etc.                (健康生活の問題)
 
 まず、コロナ発生の最初の時点で、喫緊の生活物質である、トイレットペーパーやマスクの買い占めが起こりました。しかし、これはある意味、人間の自然の反応であろうと思います。すなわち生活必需物質が不足するかも知れないという恐怖からの行動であるからです。
 
しかし、これらの行動が社会的に妥当でなかったことは、緊急時の一時期に集中的に買い占めが起こり、全体量は十分であっても、必要な時に必要な人にそれが行き渡らず、社会不安がもたらされたという点にありました。
その様な意味で、もしこれが平時の時からの緊急対策としての必要物質のストックであれば、逆に賞賛されるべきことであったろうと思います。それは国全体としても言えることで、緊急時の必要物質の国内における備蓄が特定の物質において不足していました。
 
住宅の役割を、危機管理住宅としての視点から見直してみますと、住宅の全てをそのようにするのではなく、リビングルームなどの住宅の中心部を、危機管理対応部として設計すれば、予算をあまり掛けずともコスパの良い緊急危機対応住宅に転用する事ができるという事に気づきます。
住宅の中心部だけは、どのような大地震にも巨大台風にも耐えうる構造とし、一部、RCによる地下室の併設や、RCの耐力壁も併用しながら、そこに災害対応の機能を集中させます。
そしてその部屋を取り巻く周りの壁はストック壁とし、お米などの主食を、日頃より必要量を動線よく貯蔵し、そこに続くウッドデッキには、簡易の薪による炉を設けたりするのです。これらは平時にはバーべキューを楽しむ憩いの場ともなり得ます。
 
 一番大切な上水も、ストックの水の他に、湯船の水や雨水の一時ストック場所を考慮すれば、ろ過装置や蒸留水の工夫利用で、一時の賄になるはずです。
 
トイレなども、パンデミック時の軽症自宅療養家族の感染隔離対策として動線を考え、非常時扉を設けた二方向の動線を確保します。
 
エネルギーは、もちろんソーラーや蓄電池を装備し、その配線も地震等に留意したものとすれば容易に破壊されないものとすることが出来ます。
 
大事なことは以上のことが少しの工夫でできることです。このような住宅における少しの工夫の差は、非常時の健康な生活の維持に大きな差となるかもしれません。
もちろん、生活インフラを100%かなえることはできないかも知れませんが、全ての危機が同時に訪れるという事もそうそうは無いでしょうし、それらの機能が一部でも自己の住宅でまかなえれば、危機時に体育館で生活しなくても済むかも知れません。
 
すなわち、住宅を、これからの不確定時代の災害時の避難や、数カ月に及ぶかもしれない自給自足の生活の場所として再構築するのです。そしてその様な思想が、合理的設計思想で目的意識的にユーザーに提案されねばなりません。
 
従来の住宅設計思想の中に、芸術性や機能性だけでなく、危機管理としての住宅の役割を、創設するのです。もちろん、その設計思想は、年ごとの設備機器の進歩とともに深めていかなくてはいけません。その様な意味で本年を「災害対策住宅元年」としたいと思う事でした。
何が起こりうるか不明の時代に、この数カ月のコロナの影響による、巣ごもり(在宅勤務&テレワーク)体験をふまえ、緊急事態における、災害と住宅という観点から考えてみました。我々住宅を供給する者も、本気で提案する必要があると感じました。
 
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