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2021.10.08

考えてみたブログ~茶の間と小さな家~

こんにちは、設計課の上村です。
TBSの朝の番組「あさチャン」が終わってしまいましたね。
家族みんなで夏目チャンのファンで、
朝から夏目三久アナの今日の髪型や服装を見て
今日もかわいいねーなんて言っておりました。
寂しい限りです。
新しい番組「THE TIME」はおじさん二人が
メインMCですが生暖かい目で見守っていこうと思います。
MBC放送なので。え?ZIP?

イケメンがいっぱい出るので見ません。



さて本日の話題は「家は小さくできるか」です。それではどうぞ。

 

建築費の事情




 

いきなりだが、物価、人件費、それから住宅に求められる性能の上昇により、
「坪単価」が少しずつ上がってきている。

 

坪単価とは建物一坪(約3.3平米)あたりの建築費用のことで、建物費用を面積で除して算出する。
 

だが建築にかかる費用が年月と共に上昇したからと言って、
建築主が支払えるお金が同じように上がるわけではない。
企業から支払われる賃金はそう簡単には上がらないのが今の日本。
「建築予算/坪単価」の分母ばかり増えれば、
式の答えである「建てられる家の大きさ」が
小さくなるのは必然だろう。

 

建築費用が上がってきている事情を説明する。まずは建築資材について。
 

住宅の基礎に使うコンクリートは、組合が価格を決めており、
最近は上がりっぱなしで下がることは無い。
あらゆる場面で使われる鋼材もそうだ。
価格も相場制でアップダウンはあるものの、
近年は上がり調子であり2002年比で1.5倍
アダチ鋼材HP 鋼材市況推移 鋼材価格推移グラフより)
と高騰が続いている。

 

ウッドショックも記憶に新しい。
米国での住宅ブームや輸送コンテナ不足等の要因により、
輸入木材の価格相場が高騰し、不足する輸入木材を
まかなおうと国産材相場もつられて高騰した。

 

つづいて資材以外の費用だが、
近年では政府主導で建築物の省エネルギー性能の向上に
補助金を出している。
日本の新築住宅の断熱性能を底上げしたいからだ。
激甚化する災害に耐えるため耐震性や耐風性を備えた家が
標準化する流れもある。

 

必要な断熱材や耐震部材の質・量ともに向上し、
設計費用もそれなりに増加する。

 

このように、各費用は上昇を続けているのが現状だ。
 

予算

 

建築主が支払えるお金、これはつまり「予算」である。
多くの住宅購入者が住宅ローンを利用するので、
毎月支払える金額は給与と物価で決まる。
銀行のHPでは借入額から毎月の返済額のシミュレーション
ができるので、家計から住宅ローンを支払っていけるかを
知ることができる。
私も自宅を購入する際は随分とシミュレーションをした。

 

はじき出した借入金額+投入可能な自己資金=が予算である。
 

近年は国民の実質手取り額が減っていると話も聞く。
それなのに建築の費用が増えれば、
建築可能な大きさが小さくなるのは必定だろう。
実入りが変わらないのに食材費が上がれば、
おかずの数が減るようなものである。
作る側としても、世知辛い。

 

悲観的なことばかり並べたが、
このブログを読んで下さって家づくりの知識を
少しでも集めようとされている段階では、
自分たち家族がどれくらの広さの家が必要なのか、
まだ把握していないことがほとんどだと思う。
小さくなると言われても、そもそも普通って
どれくらい?という状態ではないだろうか。

 

もう一つの理由

 

家が小さくなるのに、もう一つ根拠がある。出生率だ。

 

政府統計を見れば1975年(昭和50年)を境に
合計特殊出生率が2.0を上回ることがなくなっている。
そして年々減少を続け、2005年には最低値1.26、
そこから徐々に持ち直しつつはあるものの、
2016年統計の全国平均で1.44である。
少々乱暴ではあるが、出生率の減少=家族成員の減少
と捉えると、当然必要な家の大きさも小さくなるのは
自然なことだと思う。

 

これら「建築価格の上昇」と「出世率の低迷」という事実から
「新築住宅の床面積は小さくなっていく」
のではないかと私は予想する。

 

我々家づくりに携わるもの、デザインをする者は、
これに対する答えとして、今と変わらないか、
若しくは同等以上の「豊かさ」をもって、
家を小さくする努力が必要なのではないか。

 

なんとか家をより豊かに、より小さくできないか
アイデアを探していたところ、
先日、南雄三先生(断熱・気密化技術および
エコハウスを専門とする技術アドバイザー、
住宅産業全般のジャーナリスト)のYouTubeチャンネル
に興味深い一節を見つけた。

 

「家がメタボになるのはリビング主義だから(南雄三氏)」

南雄三のPassiveDesign MEP 8畳グリッド・出窓でPassive

 

というのである。これには驚いた。
 

茶の間




 

「リビング主義」なんてわざわざ言葉にしなくても、
〇LDKって言葉が示すように、
今の家はそれが普通なのではないのか?

 

だが普通を疑うのがクリティカルシンキングである。
 

ではリビングが中心でなくてどないすんねんって話だが、
動画ではこう続く。

 

「リビングは死語(社会学者?)である」

「茶の間を中心にすると家族の距離感がちょうどよい」

 

なるほど「リビング」でなく「茶の間」を中心に据えるというのか。

 

ちなみに茶の間とは、
住宅において多目的に使われる室の一種で、
ひらたく言うとリビング兼ダイニングである。
部屋が足りないと寝室にもなる。私はギリ30代だが、
田舎の祖父母の家には茶の間があったし縁側もあった。
朝ドラの「おかえりモネ」の仙台の実家も、
クドカンと長瀬のファン歓喜のドラマ「俺の家の話」
の主人公が暮らす家でも、この茶の間に人が集まり
ドラマが繰り広げられる。

 

時代は回るものである。
 

今、古くなったので建て替えようとする家には茶の間がある。

茶の間は古い!今はリビングだ!建て替えるならLDKが広い家だ!

こう叫ばれたのは今は昔。

また一周回ってきたんスね!茶の間先輩!

 

ただでさえ敷地が狭くなる昨今、
そして冒頭の建築価格の上昇。
小さく豊かに建てられるのなら良いではないか。
メタボ気味の現代の間取りを、スッキリダイエット!

今からは茶の間の時代だぜ!ウェイ!ウエ...ィ...

 

しかし不安がある。
 

〇LDKで育ってきた我々が、
今更茶の間のある間取りに慣れる事が、
魅力を感じる事ができるのだろうか?
ただの懐古主義ではなかろうか?
そんな疑念が晴れない。

 

ならばやってみよう!疑念を晴らすには自分の手を動かすしかない。

次回はリビング主義の間取りと茶の間主義と、間取りを例に検証してみようと思う。




 
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