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2022.02.03

家づくりの法律 –長期優良住宅

こんにちは、設計スタッフの上村です。いやー法改正ですね。世の中を良くしようと専門家の方々が奮闘しています。前線で働く建築士としては目まぐるしく変わっていく法律を追うのに精いっぱい。建築基準法はもとより、民法や契約に関する法律も昨今大改正が行われたばかりなので、お客様に間違いのない業務を提供できるように頑張らなきゃと思う次第です。

さて今日はその中でも「長期優良住宅」の法改正についてご紹介します。


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長期優良住宅の認定基準に関していくつかの改正が行われ、令和4年2月20日から施行されます。手続きの合理化やカーボンニュートラル社会実現に向けた改正など主なポイントですが、ひとつお客様にご注意頂きたい項目がありましたので記事にしました。

それが「災害配慮基準の創設」です。


長期優良住宅

そもそも長期優良住宅とは、「将来にわたり長く住み続けられると国から認められた住宅」のことです。その点をコンセプトに様々な基準が設けられているわけですが、これまでの認定基準において災害のリスクに対する基準は地震に対して「耐震等級」というものがありました。しかし災害にはその他にも洪水や浸水、土砂災害もあるわけです。そういった災害に建物で対応するのは現実的ではないからなのか、今回の法改正ではそもそも「災害リスクが高い区域に長期優良住宅を建てる場合は配慮を求める」としたのです。
 

災害配慮基準の創設

新たに追加された長期優良住宅の認定基準の一つに、「自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること」があります。言い換えれば「災害リスクが高い区域に長期優良住宅を建てる場合は配慮を求める」ということです。では「配慮」とはなんでしょう?それは、「そもそも災害リスクの高い区域では長期優良住宅を認定しない」と、「必要があれば対策を講じる」です。
 

配慮1:認定しない

”災害の危険性が特に高いエリアを認定対象から除外” 
鹿児島市からのお知らせ
上のリンクの鹿児島市からのお知らせにあるように、「地すべり等防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域」のエリアでは「長期優良住宅の認定はしない」としています。言葉に注意して下さい。土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域は別です。

 

配慮2:対策を講じる

その他例えば「浸水想定区域のように、一定の自然災害のリスクはあるものの、建築制限はなく一律に居住を避けるべきとまではいえない区域」については地域の実情を踏まえ所管行政庁(例えば鹿児島市)が必要な措置を定めることができるとしています。例えば鹿児島県の「洪水浸水想定区域」で言えば、今のところ「制限なし」のようです。こちらのリンク(リンク先が変更になりました。正しくはコチラのリンク)中にある、「自然災害に係る認定基準(法第6条第1項第4号)」のPDFに、どの区域は認定できてどの区域が認定できないのか、一覧があるのでご参照ください。
ちなみに上記の「一律に居住を避けるべきとまではいえない区域」という文言から察するに、国土交通省としては災害リスクの高いエリアの建築をいくらか抑制したい事が窺えますね。参照した資料はこちらのリンクの「資料4 長期優良住宅認定基準の見直しに係る検討の方向性」よりです。

 

建築しようとしている場所は

災害リスクのあるエリアについては鹿児島市の「iマップ」や鹿児島県の「土砂災害警戒区域等マップ」で調べることができます。いざという時に役立つので、是非一度確認してみましょう。
余談ですがもしこだわりの工務店で「ウチの住宅は100%長期優良住宅だよ!」という所がもしあったとして、お客様が上記の土砂災害特別警戒区域に建てたいとしたらどうするのでしょうね。建築場所を変えるよう勧めるのか、長期優良住宅認定100%の実績を諦めるのか…どうなんでしょうね。完全に余談でした。

建物の性能も大切ですが、建てるエリアも気に掛けましょう。
山の斜面や岩場をバイクで登るのが好きな設計士がお届けしました。ゲコタ!

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