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2022.12.26

デグリーデー

 

こんにちは、設計課の上村です。8月以来の更新となってしまいました。

今年最後の設計部だよりをお届けします。

 

家の断熱性能は昨今の家づくりで大きなトレンドとなっていますが、

今日は少し視点を引き上げて、大きな視点で見てみましょう。

 

「断熱性能」とは住宅において、

屋根や壁や床、家の中と外を隔てる各部分が、

「熱」をどれだけ通しにくいかを数値で評価しようという試みです。

対して「温熱環境」という言葉は、

人間が室内で過ごすうえでの暑さ寒さの環境です。

室内の「温熱環境」は家の「断熱性能」と「熱移動」で決まります。

「断熱性能」は断熱材の性能や厚みで決まり、

一度施工すると(基本的には)家が取り壊されるまでその効果が続きます。

 

「熱移動」の方はアクティブとパッシブがあり、

パッシブ(受動的)な熱移動とは、

電気やガスなどのエネルギーを使うことなく、

自然の運行の中で移動する熱のことで

例えば太陽の光を家の中に取り込んで温めたり、

逆に暑いときには日光が家に差し込まないようにしたり、

家の中に風を通したりする手法のことです。

人体やつけっぱなしのテレビから発する熱もそうですね。

こちらも建物が存続し、人がそこで生活する限り

その効果は続きます。

 

対してアクティブ(能動的)な熱移動とは

エアコンなどの空調機械を使って

熱を家の内から外に捨てたり(冷房)、

逆に外の熱を室内に移動したり(暖房)、

はたまた電気やガスを熱に変えたり(暖房)と

さまざまな機械的な手法で、電気やガスなどの

エネルギーを使って熱を移動したり生み出したりします。

こちらは機械の寿命によります。

 

さて、色々説明しましたが、家の建つ場所はさまざまです。

寒い土地だったり暑い土地だったりします。

先日ブログでご紹介した国連のハンドブックによりますと、

”パッシブデザイン戦略は、

その地域の気候条件に基づいて利用され、

最適化されるべきである。”とあります。

暑い土地には暑い土地なりの家の建て方というものがあるということです。

快適な家を作るにはその家が建つ立地や環境を

見極めることが大切ということなのです。

では日本においてどこからが暑い地域?どこからが寒い地域?

という話になりますよね。北海道が寒いのはわかるけど、

鹿児島だって冬もがっつり寒いじゃん!?って話ですよね。

 

 

そこで今日は「デグリーデー」というキーワードから

この疑問を紐解きます。前置きが長くなりました。

 

 

デグリーデーとは何か

デグリーデーとは、暖房冷房それぞれ期間を定め、その期間内に、ある設定温度と日の平均気温との差を積分したものです。

℃ × 日 から算出された面積ともいえ、空調負荷の大小を判断できます。

具体的に言うと、あるシーズン(一年)で日の平均気温が初めて10℃を下回った日を暖房開始日、最後に下回った日を暖房最終日として、暖房設定温度14℃と日平均気温との差を積み上げていった値のことです。

冷房も同じように設定します。

 

例を示して言うと、ある年のある日、その日の平均気温が8℃になったとします。

平均気温が10℃を下回った日はそのシーズンで初めてでした。

暖房設定温度を14℃とし、14-8で「1日で合計6℃」を加算します。

翌日の平均気温が6℃でした。

14℃との差は8℃なので先日の6℃日に加算して「2日で合計14℃」、さらに「3日で合計〇〇℃」…という風に加算し、そのシーズンでのトータルを求めます。

寒い地域は暖房デグリーデーが大きくなり、暑い地域は冷房デグリーデーが大きくなります。

どちらも大きい地域は厚さも寒さも厳しい地域という事ですね。

では実際に見てみましょう。

 

お住まいの地域のデグリーデーは

日本で5地点をピックアップして2021年のデグリーデーを調べてみました。

データは気象庁のホームページに公開されているデータを使用しました。

このようなデータです

(気象庁HPより)

 

そこから代表で鹿児島、福岡、東京、新潟、青森

の5地点をピックアップし、グラフにまとめると

このような形になりました。

 

(気象庁のデータを基に筆者が作成)

 

 

このグラフが何を意味するのか

グラフを見て分かるように、5地点のうち最北の青森から南に下るに従って

暖房デグリーデーは減少し、冷房デグリーデーは増加していきます。

家づくりにおいてこのグラフが意味するものはつまり

「暖冷房デグリーデーのトータルを一年の空調負荷とすれば、

暖房デグリーデー・冷房デグリーデーそれぞれがトータルに占める割合がどれくらいかで、暖房を重視する地域なのか、冷房を重視しなければならない地域なのかが判断できる」

ということになるのではないでしょうか

 

ちなみにこちらの資料(PDFが開きます)によれば、このデグリーデーも年々変化しており、冷房デグリーデーは各地点において年々増加傾向、対して暖房デグリーデーは逆に減少傾向にあるとの研究結果です。

つまり冷房にかかるエネルギーは年々増えて、暖房にかかるエネルギーは減っているとそういう気象データだという意味です。

「温暖化」というキーワードがちらつく研究資料ですね・・・

 

 

デグリーデーを家づくりに活かす

先ほどのグラフ、鹿児島をご覧ください。

暖房・冷房それぞれのデグリーデーは、他の地域に比べ同じくらいの比率になっています。

つまり暖房も大切だけれど、冷房、つまり、南国鹿児島の暑い夏を、如何に快適に過ごせるか!

温熱環境においてそこを考えることがとても大切だということです。

最初でご説明した通り、温熱環境は3つの要素で決まります。

「断熱性能」だけでなく、アクティブ・パッシブそれぞれの「熱移動」を

制御する工夫が大切です。

機械で空調したり、庇を掛けたり風を通したりといった設計上の工夫、そして暮らし方の工夫があります。

 

じつは鹿児島県のホームページにもデグリーデーに関する記載があり、家づくりの工夫の大切さを訴えています。

(集計年度や方法が違うのでデグリーデーの数値が少し違います)
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夏も快適な家づくりはMBCハウスで

10年以上前からパッシブデザインで快適な家づくりを提唱してきた弊社では、

専属の設計士が丁寧に間取りを考え、お客様に満足いただけるご提案をさせて頂いております。

鹿児島には鹿児島の家づくりを。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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