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2020.12.21

「住宅に必須のエネルギー問題を考える」  

設計課の山下です。
 昨今の報道によりますと、菅首相は、10月の国会での所信表明演説の中で、2050年までにCO2(温室効果ガス)の排出量を日本全国で実質ゼロとする方針を発表され、翌11月の20ヶ国・地域首脳会議(G20)でも発表され、国際公約としました。 
この「50年CO2排出実質ゼロ」への政府の本気度は、その目標を表明のみでない法律とするということで、政策の継続性を担保するという方針にも表れています。
 
これは地球の急速な気候変動等を考えますと当然の対策ではありますが、ある意味、とても困難を伴う事でもあります。ゆえに菅首相は同発言の中で、再生可能エネルギー等のクリーンエネルギーへの投資が世界で加速している中、脱炭素のための技術革新を、「経済と環境の好循環」と指摘し、国内外からの「グリーン投資」を日本に呼び込み、経済成長戦略の柱に位置づけるとも発言されています。
まさに脱炭素の規制を逆手にとっての成長戦略です。
 
国立環境研究所によりますと、国内における19年度のCO2排出量は、約10億3千万トンあるそうです。そのうち、発電部門が約4割、製造業が約3.5割を占めるそうです。
我々の従事する住宅産業は、残りの民生部門の中の家庭部門ですが、おそらく約1割ぐらいの炭素を排出しているのだと思います。
ゆえに日本が本気で「2050年CO2排出実質ゼロ」を実現するためには、日本のCO2排出の約4割を占める発電部門の脱炭素化や製造業部門の脱炭素化が必須です。
 
 人類のエネルギー使用の歴史は、初期のころの物質を直接燃焼させて得られる熱エネルギーから、近年は、スイッチ一つで制御できる便利な電気エネルギーへと転換してきました。
 
つまり、発電部門では多くの電気エネルギーが、火力発電所で化石燃料を燃焼させて得られた熱エネルギーから電気エネルギーへと変換してつくられているのです。ゆえに、CO2削減の為には化石燃料に頼らない自然エネルギーに基づく発電が希求されています。そのためには、再生エネの発電比率をどこまで高めるかが焦点になります。
 
現在研究されている自然エネルギーに基づく発電を列挙すれば、
①風力、②太陽光、③地熱、④中小水力、⑤バイオマス、⑥バイオマスを原材料とする水素、⑦波力、潮汐利用等の発電です。
 
その他、可能性として、CO2再利用もあります。化学工場等で副産物として発生する水素を利用し、CO2・水素のカーボンリサイクルもあるそうです。
 
しかも水素は、リサイクルに限らずこれからの重要なエネルギーとなりそうです。 
 
次に製造業部門に関して言えば
製造業部門の日本製鉄は2050年にCO2の排出量ゼロの目標の為、水素製鉄法の技術導入を目標として定めたそうです。水素製鉄法とは、鉄鋼の製造工程の中で石炭由来のコークスの代わりに水素を還元剤として使用し、鉄鉱石から酸素を取り除き、溶鉄を作る技術だそうです。化学品や鉄鋼などの特に高温の熱エネルギーを必要とする業界において化石燃料に代替するのはほぼ水素しかないのだそうです。
未だ完成された技術ではありませんが、これらの新技術開発で世界の優位に立ち、国際競争での勝ち残りを目指すそうです。
 
住宅産業に従事する我々としても、これらの流れは当然に住宅の性能に影響を及ぼすものであり、注視せざるを得ません。
報道によると国土交通省は、品確法に基づき2000年に定めた性能表示制度を改め、現在は4等級ある断熱の等級を、より高性能の5段階目を設けるため、22年度の法改正を目指しているそうです。
 新設する最高の等級5の具体的基準は現在未定ですが、現行の等級4のZEH住宅等がさらにグレードアップする感じです。
 
まさに科学技術革新のオンパレードで、菅首相の所信表明の通り「経済と環境の好循環」を目指すためには、技術革新以外、日本が世界で勝ち残る道はないのかもしれません。
再生可能エネルギーの技術革新はある意味無限であり、ぜひとも日本の得意とする分野の一つにしなければならないことであると思います。そうすれば資源小国の日本の弱点を補い、資源大国日本に変貌する日が来るかも知れません。
 
住宅産業に従事するMBC開発は、ドイツなどの西欧先進国に比べるとまだまだ遅れていると言われる住宅に関する断熱化等の研究を進め、エネルギー問題に少しでも貢献できるように全力を傾けて技術の向上に努めたいと思っています。
 
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